Silk Purse
1970年。リンダのセカンド・ソロ・アルバム。
初期のリンダはおしなべてそうだが本作もカントリーに寄った快作。1曲目、カントリー・スタンダードと言っても良い「Lovesick Blues」から最後の「Life is Like a Mountain Railway」まで全10曲。時間にしておよそ30分、アッという間に終わってしまうがなかなか良いアルバムだ。
まだポップなリンダの面影は薄いし声も若いが、地味ながらも手堅くカントリー・ロック調にまとめらている。
私のベスト・トラックはゲイリー・ホワイト作の「Long Long Time」。静かな歌い出しから徐々に盛り上げていくスタイルはまさにリンダの真骨頂。実はこの曲にはリンダ絶頂期の75年頃と思われるブートのライブ録音もあり、そちらの方が遙かに良い出来なのでリンダ・ファンには聞いて欲しいテイクだがブートなのが残念だ。
このセカンド・ソロはこれからの成長が楽しみと思わせるに充分な初期リンダの佳作。

01.Lovesick Blues
02.Are My Thoughts With You
03.Will You Love Me Tomorrow?
04.Nobody's 05.Louise
06.Long Long Time
07.Mental Revenge
08.I'm Leavin' It All Up To You 09.He Dark The Sun
10.Life is Like a Mountain Railway
Linda Ronstadt
そのものズバリ、リンダの名前がそのままアルバム・タイトルになった1971年作品。
イーグルスがリンダのバック・バンドだった事は有名だが、本作ではイーグルスのメンバーがバックを務め、またリンダの方向も後に繋がる兆しが徐々に見え始めているのが面白い。

アルバムのまとまりという点ではまだまだだが、若さ、つまり初々しさがこのアルバムの大きな魅力になっている。
個人的には“これだっ!”という楽曲はないのだが、艶のあるリンダの声と今となっては豪華極まりないバック陣の演奏だけで充分だし、この頃のカントリー色の濃い雰囲気が私好みだ。
その豪華なバック陣は、バーニー・リードン、グレン・フライ、ドン・ヘンリー、ランディ・マイズナー、スニーキー・ピートなどのメンバーに、ウエルドン・ミリック、バディ・エモンズといったペダル・スティールの重鎮も顔を揃えている。それに何曲か入ってるライブ・テイクも初期リンダのステージの模様が聞けて興味深い。
01 Rock Me On The Water
02 Crazy Arms
03 I Won't Be Hangin' Round
04 I Still Miss Someone
05 In My Reply
06 I Fall to Pieces
07 Ramblin' Round
08 I Ain't Always Been Faithful
09 Rescue Me
Don't Cry Now
1973年発表の4枚目。
個人的には非常に好きなアルバム。
カントリー&ポップ化が一段と明瞭になり、収録曲の密度も濃い。
プロデューサーは一時期リンダが惚れていたというJ.D.サウザー。(リンダを泣かせたらしい。)
ラリー・カールトンやバディ・エモンズの参加などバック・アップのミュージシャンも素晴らしいが、何といっても素晴らしいのは充実した楽曲群だ。
J.D.サウザーの曲が3曲の他、カントリー・スタンダードの「銀の糸と金の針」、名曲「Love Has No Pride」、「Everybody Loves a Winner」、「Desperado」、「Sail Away」など名曲揃いで大変に充実度が高いアルバムだ。この辺からのリンダはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、後に続く作品も非常に完成度が高くなる。ある意味「記念碑的」と云える作品かもしれない。

01 I Can Almost See It
02 Love Has No Pride
03 Silver Threads and Golden Needles
04 Desperado
05 Don't Cry Now
06 Sail Away
07 Colorado
08 The Fast One
09 Everybody Loves a Winner
10 I Believe in You
Heart Like A Wheel
1974年作品。
リンダのアルバムはハズレが少ないけれど、この作品もベストの1枚に数えて良いと思われる充実ぶりだ。
プロデューサーはピーター・アッシャーで、ここからポップ路線を突っ走る路線が確立されたようだ。
1曲目の「You're No Good」から最後の「You Can Close Your Eyes」まで、どの曲も甲乙付けがたい出来映えで飽きさせない。
個人的にもどの曲がいちばん好きか決めかねる程だが、特に好きなのが4曲目の「The Dark End of The Street」だ。ちょっと気怠い雰囲気のこういう曲を歌うリンダは本当に良い。間奏で聞けるベンダーっぽいギターも良いムードだ。

そしてハンク・ウィリアムスの「I Can't Help It」。イントロのスティールの音を聞いただけで私はノックアウトで、いつもいつもこの曲から元気をもらっている。エミールー・ハリスがコーラスで参加してるのも嬉しい。
01 You're No Good
02 It Doesn't Matter Any More 03 Faithless Love 04 The Dark end of The Street
05 Heart Is Like A Wheel
06 When Will I Be Loved
07 Willing  08 I Can't Help It
09 Keep Me From Blowing Away
10 You Can Close Your Eyes
Prisoner in Disguise
1975年作品。
詳細ページにどうぞ。








Hasten Down The Wind
1976年作品。
個人的には初期のカントリーっぽい雰囲気を撒き散らしていたリンダも好きだが、「Heart Like A Wheel」から始まったポップ路線も実に充実していて、この作品も素晴らしい。プロデューサーはもちろんピーター・アッシャー。
注目すべきはカーラ・ボノフの作品が多い、と言っても3曲だが、実にリンダ向け作品というか、やや淡泊な印象を受けるカーラ・ボノフの歌唱と違って、とても艶っぽく色っぽく歌い上げている。この3曲は翌年の77年にリリースされたカーラ・ボノフ自身のアルバムにも収録されていて、歌唱の異なる二人の対比は面白い。しかし、カーラ・ボノフっていう人は自身ではそんなにメジャーになれなかったが、良い曲を作る人で、シットリと聞き惚れてしまう。
バックを固めるのはいつものメンバー。派手さはないが手堅くまとめた演奏だ。
個人的に特筆したいのはウィリー・ネルソンの「クレイジー」。いやぁ、これは良いですよ。実はブートで出てたライブ録音の方がスタジオ盤よりももっとスローテンポで、情感たっぷりなのだ。「デスペラード」もそうだけどこういうテンポの曲の方が感情移入がしやすいのか、リンダの独壇場といえる内容だ。
あっ、そうそうバディ・ホリー・ナンバーもとってもゴキゲンです。
01 Lose Again
02 The Tattler
03 If He's Ever Near
04 That'll Be The Day
05 Lo Siento Mi Vida
06 Hasten Down The Wind
07 Rivers Of Babylon
08 Give One Heart
09 Try Me Again
10 Crazy
11 Down So Low
12 Someone To Lazy Down Beside Me