トミー・エマニュエル/Tommy Emmanuel
ライブ・アット・シェルドン・コンサート・ホール
01 Luttrell 02 Blue Moon 03 Borsalino 04 Mombasa 05 That's the Spirit 06 I've Always Thought of You 07 Guitar Boogie 08 Amazing Grace 09 Classcal Gas 10 A Guitar Lesson With Tommy 11 Windy and Warm 12 Just an Old Fashioned Love Song 13 Beatles Medley: Day Tripper/ Taste of Honey/Lady Madonna 14 Those Who Wait 15 Mona Lisa |
16 Initiation 17 Biskie 18 Michelle 19 Dixie McGuire 20 The Hunt 21 Waltzing Matilda 22 Saltwater 23 Imagine 24 Train to Dusseldorf/To “B”or not to “B” 25 Waltzing Matilda(reprise)/Road to Gundaghi 26 Tom's Drums |
MELBAY MB20064DVD 2002年作品 実はこのDVDはチャプター・ナンバーにミス がある。輸入盤では珍しい事ではないが、 1曲目の「Luttrell」のナンバーが実際に は02で、以降すべての曲番がズレている のだが何故か最後には26「Tom's Drums」 で合ってしまう。メデタシ、メデタシ。 音声フォーマットはPCMではなくドルビー・デ ジタル・ステレオのようで、プロ・ロジック音場 で聞くとコンサート会場にいる雰囲気が味わえ る。 |
これはトミー・エマニュエルのステージの模様を収録した驚嘆すべき映像作品。
もともとはビデオで2巻に分けてソフト化されていたようだが、こうしてDVDにより1枚の作品として新たにしかも安くリリースされたのは有り難い事だ。
トミーの情報は日本では悲しい程に少なく、彼が通常どんなカタチでステージをやっているのか詳しい事は知らないのだが、ここでは約2時間にわたってアコースティック・ギター1本だけで言葉にならない程素晴らしいステージを展開している。
熱狂的なトミー・ファンには申し訳ないが、私はトミーのエレキ・ギター・プレイというのはあまり好きになれず、トミーはアコギ・プレイヤーだという気持ちが強いのだ。
だから彼の過去のアルバムの中では「Only」、「Chet
Lag」といったアコギ中心のものが気に入っているし、他のアルバムの中でもアコギを使った曲の方が好きなのだ。だから今回のこのライブDVDは私の嗜好にはピッタリで、私の中では最近の音楽映像ソフトの中では最高位にランクされる位好きになった。
それに日本では到底見る事が出来ないだろうと思われるトミーのステージを見られるのは嬉しいし、多くのギター・ファンにももっとトミーの素晴らしさを知ってもらいたいと思うのだ。
特にチェット・アトキンスのファンの間ではトミーの知名度は高いと思うが、この作品の中ではチェットのラスト作ともなった「The
Day Finger Pickers Took Over The World」に収録されている曲が何曲か演奏されているのが興味深い。
チェットの晩年の作品には心に染みるようなメロのきれいな曲が多いが、「The
Day〜」にもメロディの美しい作品が散りばめられており、それらの曲を(チェットは不在であるが)ナマで聞ける喜びは大きい。
ギターのテクニックばかりでなく、そういう滋味に溢れた作品が書けるというのもトミーの大きな魅力であり、そういう意味で確かにこの人はチェットを継承していると思わせるものがあるのだ。
それにしても約2時間にわたってアコースティック・ギター1本でリスナーをひと時も飽きさせないというのは凄い。
緩急自在、強弱自在、そして表現力豊かにアコースティック・ギターを操るトミーを見ていると久しぶりに本物を見たという気がしてくるし、アコギ1本の可能性が無限大なのではないかと思わせてしまう強烈さがある。
この人のプレイをチェット直系といって良いのかどうか良く分からないが、少なくてもトミーがチェットのコピーだけをする単純にして愚かなギタリストでなかったのは幸いだ。明らかにトミーのオリジナル・スタイルと言っても過言ではない演奏形態からは、フォロワーの宿命である「線の細さや弱さ」といった問題は見えてこないし、何と言っても勢いがある。
言い換えれば「パワー」だ。
「音楽はパワーだ」なんて事を今更云うのも変だが、昨今大型アンプを壁のように並べて音はデカイが音楽に勢い(パワー)が感じられないバンドも多く、そんな奴らにトミーのパワーを見せ付けてやりたい気分だ。
MCの部分ではオーディエンスを笑わせながらステージを進めていくが、残念ながら英語が苦手な私には何を言っているのか良く分からないのが悔しい所だ。
とにかくチェット・ファンには特に聞いてもらいたい作品だし、前述のように最近のギタリスト映像ソフトのなかではずば抜けて良い作品でオススメ盤だ。