ザ・タイガース・ライブその2
01 ジャンピン・ジャック・フラッシュ 02 メンバー紹介〜銀河のロマンス 03 MC 04 花の首飾り 05 ファ・ファ・ファ 06 君だけに愛を 07 青い鳥 08 デイ・トリッパー 09 アイム・ダウン 10 ベイビー・カムバック 01 1968年12月:蔵前国技館 02〜07 録音データ不明 08〜10 1968年12月:日本武道館 |
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この写真は昭和43年に行われた第35回日劇ウエスタンカーニバルで私自身が写したもの。 この時何よりも驚いたのはタイガースのステージよりも、一緒に行った同級生の女の子達の豹変ぶりであった。 どちらかといえば普段は大人しい感じの子たちがキャーキャー熱狂するのを見て大いに驚いた。 |
これは2000年10月に初アップしたタイガース・レア音源−1のテープのB面に録音されたものである。
加橋かつみのファズが深くかけられたギターの音から始まる1曲目の「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」でのファンの熱狂ぶりは凄まじい。良く現在の人気アイドルとどちらが凄かったかなんていう他愛もないない話題になる事があるが、この曲での熱狂ぶりを聞けばそんな事を論ずる必要すら感じさせない程の差が歴然としている。
特別にこの日だけが凄かったというワケではなく、たまたま録音の具合でファンの歓声が多く入ってしまっただけだと思うが、当時の雰囲気を知る上では良い材料になってくれる。
私は決してタイガース・マニアではないので、この旧蔵前国技館でのステージがどういう性格を帯びたものだったのか知る由もないが、国技である相撲をやるあのすり鉢形の会場でどんなステージを組んだのか興味深いし、驚くほどの歓声の多さも特異な会場のカタチによるものなのかもしれない。
曲が終わったところで沢田研二によるちょっと戯けた感じのメンバー紹介がある。
「銀河のロマンス」から「青い鳥」までは録音データが不明なのだが、全体的に録音も演奏も良くて、当時のステージングの模様、そして演奏の状態が良くわかる。
「銀河のロマンス」は2コーラスだけしかやっていなくて、トッポのギターの間奏が聞けないのが大いに残念ではあるが、歌のバックでのオブリなどは良く聞こえている。
曲後にジュリーのちょっとしたおしゃべりがあって、それはサビの「シルビー・マイ・ラブ」の部分でのコーラスについてのもので、おどけた調子でファンを湧かせている。
「花の首飾り」はフル・コーラス聞ける完全版で、伸びやかなトッポの歌声が良く通り、ここではファンの歓声も一休み状態。
「ファ・ファ・ファ」はご存知の通りタローをフューチャーした歌で、ジュリーが巧みなおしゃべりを盛り込みながら、ファンとの大合唱に導いていく。会場の雰囲気が伝わってくるようだ。
「君だけに愛を」では残念に思っている事がある。
トッポによるあの一発目のギターの音を録音しそこなってしまったのだ。
例えば他の曲ならフェード・インで録音状態に入る事でも許せる部分があるが、「君だけに愛を」はそういうワケにはいかない。
特徴的なあの一発目のギターの音が録れなかったのは致命的だ。
しかしながら、これも全体的には良い出来であり、鑑賞するには充分な内容だと思う。
当時の私にとって非常に興味深かったのは間奏のギターをどう演奏するのかという事であった。
当時ちょうどギターを始めたばかりの頃の私にとってあの間奏は手の届かない凄いソロであって、弾き方も皆目見当が付かないのであった。
あまり話題になる事はないが、私はこの曲でのギター・ソロはあの時代を考慮に入れれば、とても素晴らしいものだったと思う。
スタジオでは別のミュージシャンがやったのだと思うが、このライブで聞ける演奏もなかなかのもので遜色はない。
「青い鳥」もフル・コーラスで収録。
別テイクでギターのオブリがカッコイイものがあるが、ここでの演奏は極めてスタジオ演奏のそれに近くて、タイガースのメンバーによるオリジナリティな部分は聞こえてこない。
「ちょっと残念かなー」という感じ。
ビートルズ・ナンバーの「デイ・トリッパー」からは1968年12月の日本武道館でのライブ。
タイガースはビートルズの曲も結構演奏しているが、その中でも個人的にはこの「デイ・トリッパー」と「ノーホエア・マン」が好きである。
殆どオリジナルに近くて下手なアレンジを加えていないところがイイ。
残念な事にここで使われているギターがギブソンなのかエピフォンなのか判然としないが、イントロのちょっとクリップしたギターの音が時代を感じさせて嬉しい。
「アイム・ダウン」もビートルズ・ナンバーとして有名だが、まさか自分たちがビートルズがかつて立った同じステージでこの曲をやるとは思っていなかったのではないか。
観客もタイガースのメンバーも熱狂状態。
「ベイビー・カムバック」はドラムスのピーの歌。
お世辞にも上手いとも美声とも言いかねる歌声ではあるが、相変わらずのファンの熱狂ぶりだ。
このテープのライブ演奏は取り敢えずこれで終了なのだが、実はテープにはこのあと映画「華やかなる招待」のサントラのほんの一部分が入っているのだ。
当時ラジオで放送したものの録音だが、今のように気軽にビデオで映画を見られる時代ではなく、映画の音声を繰り返し聞けるというのはかなり特別な事だったという気がする。
まさしくあの時代の私にとっては貴重なものだった。