ザ・ベスト・オブ
ジャンゴ・ラインハルト

Side-A
01 Minor Swing
02 Blues en Mineur
03 Dinette
04 Topsy
05 Stockholm
06 Vendredi 13
07 Belleville

Side-B
01 Song D' Automne
02 Swing 39
03 Swing 49
04 Blues Primitif
05 Django Blues
06 Sweet Atmosphere
07 Del Salle
日本コロンビア
HR-112-EV
(本テキストは1972年発売の上記LP盤を参考にしてます。)


今年はジャンゴ没後50年という節目の年で、まさかそのせいでもあるまいが大きなCDショップに行くとジャンゴのCDがかなりの数置いてある。
一時期はジャンゴのCDを探しても同じようなものが数タイトル置いてあるだけで非常に寂しかったが、今は選ぶのに迷うほどのCDがリリースされている。
今回紹介するアルバムはかつて私がジャンゴに傾倒するキッカケとなったもので、ジャンゴの入門用としてこのアルバムを選んだのは「廉価盤だったから」、という単純な理由によるものだった。
ジャンゴといえば多くの人はステファン・グラッペリを擁したユニット“フランス・ホット・クラブ五重奏団”を思い浮かべるだろう。
ジャンゴのキャリアを振り返ってみると確かにグラッペリとのユニットは強固で、良く歌うグラッペリのヴァイオリンはジャンゴのギターとの相性も良い。
しかしクラリネットが好きな私としてはユベール・ロスタンとのコンビもまた非常に魅力的なのだ。
ジャンゴはステファン・グラッペリを迎え1934年に“フランス・ホット・クラブ五重奏団”を結成して活躍するが、その活動は1939年に突然終焉を迎える。
その理由というのが、「ジャンゴが急にジプシー村に帰ってしまったから」というのだが、その辺はジプシーの血を引くと言われるジャンゴのエピソードとしては面白い所だ。
そしてグラッペリと分かれたあとにクラリネットの名手ユベール・ロスタンを迎えて“新・フランス・ホット・クラブ五重奏団”を結成している。
今回紹介するベスト・アルバムはそんな時代の作品を集めたもので、3枚のアルバムからセレクトされた曲を集めたベスト盤なのだ。
私が買ったのは1972年にリリースされたものだが、同じ内容、同じジャケット・デザインでそれ以前にも発売されていたのかどうか確かな事は分からない。(どこかで見たような気がするのだが)
ジャンゴのオリジナル曲として人気が高い「マイナー・スイング」はグラッペリとの共演盤の方が一般的には人気が高いように思うのだが、私的にはここで聞かれるテイクもかなり好きで、ギター・プレイだけ取り上げたらこちらの方が良いのではないかという気もするのだ。
良く歌い流麗であるというジャンゴの大きな特長がこの1曲に集約されているような気がする。私がそう感じるのはこの曲がA面の1曲目に収録されていて、必然的に私とジャンゴとの出会いの曲になったという個人的な理由も大きいのかもしれない。
とにかく私をジャンゴの虜にするのにこの曲は充分すぎるほどのインパクトを持っていた。
このアルバムではグラッペリとの定番曲である「雲」を始めとする人気曲の収録は少ないが、ジャンゴの入門用としては充分すぎる程の内容を持っている。
ジャズのスタンダードと言っても良い「Topsy」をはじめ、マイナー・スイングと似た哀愁とキャッチなメロディを持った「Song D' Automne」、そしてジャンゴの魅力的なギターが満載の「Belleville」など、廉価盤とはいえベスト盤の中のベスト盤ともいえる内容で、個人的にはベスト盤の一押しが本作だ。