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Side-A 01 ダンス天国〜ラ・ラ・ラ 02 タイガースのテーマ 03 ルビー・チューズデイ 04 レディ・ジェーン 05 タイム・イズ・オン・マイ・サイド 06 アズ・ティアーズ・ゴー・バイ 07 スキニー・ミニー Side-B 01 僕のマリー 02 シー・サイド・バウンド 03 モナリザの微笑 04 ローリング・ストーンズ・メドレー エブリバディ・ニーズ・サムバディ〜ペイン・マイ・ハート アイム・オール・ライト 05 アイ・アンダスタンド |
ポリドール SLPM-1377 1967年発売 |
1967年発売のタイガース初のアルバムだ。 タイガースのライブ・アルバムは何枚かリリースされているが、敢えて個人的な思い入れを言わせてもらえば、彼らが残したライブ・アルバムはこの1作だけだ。 「フィナーレ」や「田園コロシアム」などのライブは加橋かつみが抜けた後のもので、しかもGS人気に翳りが出てきた頃の録音なので、タイガースが最も輝いていた時期の魅力を伝えているとは思えない。 それに何と言ってもタイガースというバンドの「旬」は加橋かつみが在籍していた頃で、荒削りながらも上り調子のバンドのステージを捉えた本作は貴重なものだといえる。 それにしてもバンドの初アルバムがライブというのも凄い事だ。 一般的にはそれ相応のスタジオ録音をファースト・アルバムとし、そして人気が高まった頃合いを見計らってライブ盤を出すというのが普通だろう。 しかしタイガースはライブ盤をファースト・アルバムにしてしまった。 殺人的なスケジュールをこなしていたタイガースのメンバーがスタジオ入りしている時間がなかったというのは容易に推察できる事ではあるが、 67年2月に初めてのレコード「僕のマリー」をリリースしたタイガース人気の急激な上昇がその暇さえ与えなかったのだろう。 レコード会社もメンバー自身も予想以上の展開に準備が整わなかったのかもしれない。 オリジナルな楽曲も揃っていなかっただろう。 結果として最も安直な方法である「ライブ・アルバム」という事になったのではないか。 しかしこれは大正解の選択だったといえる。 考えてみて欲しい。 このアルバムがなかったらタイガースが最も凄かった時代のナマの雰囲気を感じ取れるライブはこの世に存在していないのだ。 これは恐ろしい事だ。 ファンならご存知だと思うが、この時期に録音されたライブは他にもあるが、当時それを入手出来たのは一握りの幸運なファンだけであり、誰でも聞けるライブはこの1作しかなかったのだ。 それ故にこのアルバムの存在は貴重なものではあるのだが、正直なところこのアルバムでさえタイガースの全盛期の雰囲気を伝えるものではないと思う。 タイガースがその人気と共に楽曲が充実するのはもう少し後の事であり、その時期の雰囲気を伝えるライブ録音が皆無であるというのは返す返すも残念な事である。 2001年12月にリリースされた「レア&モア・シリーズ、ライブ・ヒストリー篇」では全盛期の雰囲気を伝えるライブが何曲か収録され、私も音源提供というカタチで微力ながらお手伝いをさせて頂いたが、今後更にこいうった全盛期のライブをCD化して欲しいと思うのはすべてのファンの望みである筈だ。 当時のレコード会社を中心とするスタッフはファンが最も望んでいる「ライブの記録」という事には全く考えが及ばなかったようだ。 これは決してタイガースだけに限った事ではないが、GSを含めた当時の日本の音楽界にはライブ・ステージを記録して保存するという考えはまったくなかったようで、その意識の低さは腹立たしい程だ。 だがまともなライブ音源が全く残されていないバンドも多い訳だから、いろいろ不満は残るもののこのアルバムがオフィシャル盤として残されたのはタイガース・ファンとしては幸運な事だったのかも知れない。 この時期タイガース人気はまだ上り坂を勢い良く上がっていた時で、その熱狂的な雰囲気は凄いものがある。 観客の熱気もバンドの演奏も熱いが演奏レベルはお世辞にも上手いとはいえない。 しかし、このステージからほんの少し時を経ると驚くほど演奏のレベルは上がり、ほとんど不足のない演奏を聞かせるようになる。 時代の波に乗ったバンドの成長過程を見るのは面白い。 個人的に不満なのはタイガースのオリジナル曲が少ないという事と、録音が悪いという事だ。 この時期オリジナル曲が少ないというのは仕方がないと思うが、録音の悪さはどうした事なのだろう。 意識的な行われた事だと思うが、ドンシャリ傾向の強いこのアルバムの音作りはどうにも聞き苦しくて、すっぴんの音が聞きづらいのだ。 当時このアルバムを買うであろうと予想される客層がどんな装置で聞く事を想定したのだろう。 昨今同じソースを装いを変えて再発する事は多い訳だから、そういう時には可能な限り音を改善して欲しいと思う。 いろいろとケチを付けたがGSの歴史を振り返る上で最高の人気を誇ったタイガースの熱狂的な雰囲気を伝えるこのアルバムは貴重なものだと思うし、今の内にきちんとしたカタチでタイガースを始めとするGSの音源や映像を整理する事はやらなければいけない急務だと思う。 |