2003年7月6日
20年越しの「ちあきなおみ」

01 悲恋
02 愚痴
03 霧笛
04 愛のために死す
05 それぞれのテーブル
06 すり切れたレコード
07 たそがれ仕度
08 恋に戯れ
09 夜に踊れば
10 愛の形見
11 星影の小径
12 港が見える丘
13 雨に咲く花
14 雨のブルース
15 アゲイン
16 冬の道化師
「New Best One」
ビクターエンタテイメント株式会社
VICL-41093
定価:2835円(税込み)


ギター・ファンなんていうサイトをやっていて歌謡歌手を取り上げて良いのだろうかと思ったが、ここは「たわごとコーナー」であるから「何でも有り」という事にして、今回は私が長い間探し求めていたCDの事について触れたいと思う。

事の発端は1983年に公開された松竹映画「時代屋の女房」を見た事に始まる。
当時私は故夏目雅子が好きだったのでこの映画を見たのだが、この映画の中で流れていたちあきなおみが歌う「アゲイン」という曲が好きになったのだ。
洋楽のCDやレコードを買うことには何の躊躇もない私だが、歌謡曲となるとなかなか思い切りが付かないのだ。
FMで放送したら録音しようとか、そのうち中古盤で出るだろうとか、ケチな事を考えて決心がつかない。
そんな事を考えているうちにレコードは廃盤になり、サントラという特殊性もあってFMでは放送もされず、とうとう入手出来ないまま時が過ぎたのだ。
そうなると何としても欲しくなるのが人情というもので、どこかのベスト盤に入っていないかと探したり、中古盤のセールに行けば歌謡曲コーナー等を漁ったりしたものだ。
だが遂に入手する事は出来なかった。
そんな時に巷でも話題になったボックス・セットが発売になり、何とその中に「アゲイン」は収録されていたのである。
だが1曲(実は他にも好きな曲はあるのだが)の為に1万円以上の大枚を出すマニア的感覚は持ち合わせていないので涙を飲んだ。
しかし欲しい曲の事は忘れる事は出来ずいつも頭の片隅には「アゲイン」の事があったのだ。
そんな時に久し振りにネットで「アゲイン」を検索したら、何とナントあるではないか、ベスト盤が。
発売日を見てみると2002年3月になっているではないか。
ウーン、これは不覚をとった。
あれ程待ち焦がれた曲が入ったCDの発売を1年以上も見逃していたのだ。
何という事だ。
急いで都内のCDショップに走ったが、大型店舗の1軒目は無し、2軒目も無し、3軒目の秋葉原・石丸電気ソフトワンで発見。
憧れの「アゲイン」をやっと手に入れたのだ。
残念ながら他の曲はあまり良くなかったが、私にとっては「アゲイン」1曲だけでも価値のあるアルバムだ。
それにしてもとっても良い曲だ。
現在の私はいろいろな音楽を聞いた後に、「アゲイン」を聞いて締める事にしていて、ゼンハイザーのヘッドフォンから流れてくる歌声が映画のシーンとオーバーラップして、とても良い気分にさせてくれる。

こちらは2000年に発売された「黄昏のビギン」と題された2枚組。
私の好みでは、1枚目が特に良い。
古い歌謡曲をカバーしたものが多く収録されており、「夜霧よ今夜も有難う」「紅い花」「東京の花売り娘」「泣かせるぜ」などの歌を圧倒的な歌唱で聞かせてくれる。
アレンジが歌謡曲然としていないので、洋楽趣味の人にも好まれるかもしれない。
それにしても日本の音楽界には本物が育たない。
この人が何故現役を退いたのか詳しい事は知らないが、今の日本の音楽界は素人の学芸会然とした様相を呈しており、大人の聞く音楽がない。
このアルバムの特に1枚目は、演歌ではなくポップ的な歌謡曲に興味を持つ大人には良いものだと思う。
このCDはレンタル・ショップでも見かけた事があるので、チャンスがあれば一度聞いてみて欲しい。