Saturday Night Shuffle
〜A Celebration of MERLE TRAVIS A Man & His Music〜

01 There Ain't A Cow In Texas
02 Me And The Dog Gone Blues
03 Guitar Rag
04 Sweet Temtation
05 Sixteen Tons
06 Saturday Night Shuffle
07 Knee Deep In Trouble
08 I Am A Pilgrim
09 Cannon Ball Rag
10 Travis Medley
11 Bayou Baby
12 Kinfolks In Carolina
13 Walking The Strings
14 That's All
15 Too Much Sugar For A Dime
16 Nine Pound Hammer
17 Smoke! Smoke! Smoke!
18 Childhood Memories
19 Dark As A Dungeon


1993年
SHANACHIE 6006





■Musician
Vassar Clements
Thom Bresh
Buddy Emmons
Marcel Dadi
Chet Atkins
Jerry Douglas
John Hartford
Grandpa Jones
Sam Bush
Mark O'connor
Marty Stuart



1993年に出されたマール・トラヴィスのトリビュート的意味合いの濃い作品。

豪華なメンバーが勢揃いしてて、その名前を見ただけでもなかなか凄いが、トリビュート・アルバムにありがちな音楽的に“チグハク”な部分は見えない。
演奏者自身が音楽を楽しんでいる様子が手に取るように感じられ、ほのぼのとさせてくれる。

とても興味深いのはトム・ブレッシュがマールの雰囲気を上手く出した演奏をしてること。
当たり前と言ってしまえばそれまでだが、歌伴で聞こえてくる“それらしい”演奏には思わず頬が緩んでしまう。
このアルバムの性格を意識しての事なんだと思うが、トムの他の作品で聞けないようなマールっぽい演奏が随所に出てきて若き日のマールを彷彿とさせてくれる。

そしてチェット・アトキンスの参加も嬉しい。
1993年というと「Read My Ricks」リリースの前年に当たる訳で、この時期のチェットはややフュージョンに寄った音を出していたが、この作品では純正カントリー・フレーバーの「Cannon Ball Rag」と「Nine Pound Hammer」をマルセル・ダディと共演している。
もはや往年の力強さはないもののやはりチェットのチェットらしい演奏が聞け、後に続くチェットのソロ作品でもこういったオールド・カントリー風味の曲がない事を思えば貴重な演奏と言える。

またペダル・スティールのバディ・エモンズの参加も興味深い。
ある時期からバディ・エモンスはかなりジャズ寄りの方向で活動をしているが、私としてはカントリー・フィールドでの演奏の方が好みだし、そういうプレイを聞きたいと思っている。
ここで聞けるバディ・エモンズはカントリーのフィールドの中でジャズっぽいアプローチをしてる感じで、これは非常に私好み。
特に12曲目「Kinfolks In Carolina」でのバッサー・クレメンツとの絡みなどゾクゾクしてしまう。

参加ミュージシャンが多くてそれぞれの曲についてのコメントはできないが、なかなか楽しいアルバムである事は確かで、マール・トラヴィスの偉大な足跡を辿るのに良い作品だ。

この作品、最近はちょっと入手が難しくなってしまったようだがフィンガー・ピッカー系ギター好きにはオススメの一枚だ。