SANTANA
SACRED FIRE

Side-1
01 Angels All Around Us
02 Esperando
03 Batuka / No One To Depend On
04 Wings of Grace
05 Black Magic Woman / Gipsy Queen
06 Oye Come Va
07 Samba Pa Ti
08 Guajira

Side-2
01 Open Invitation
02 Make Somebody Happy
03 Toussaint L'Overture
04 Soul Sacrifice / Don't Try This at Home
05 Europa
06 Ji-Go-Lo-Ba



Polygram Video
POLP-1617

Recorded Live in Mexico City,May 22&23,1993


1969年の夏、ウッドストックの鮮烈なステージで世界の注目を集め、その2ヶ月後にデビュー作となる「SANTANA」をリリースしたサンタナ。
そしてその後セカンド・アルバムの「アブラクサス」とサード・アルバムまで立て続けに3枚がプラチナ・アルバムに輝き、まさに世界のサンタナとなったワケだが、何故か途中から急に抹香臭くなってしまい、個人的にはあまり好きになれない時代が続いた。
一般的にサンタナの傑作といわれる「キャラバンサライ」は私には何だか良く分からず、どうしても初期3枚のワイルドでありながら艶っぽさと色気が同居していたものに耳が向いてしまうのだ。
しかしサンタナがロック界に残した功績は大きい。
ロック、アフロ、ラテンを違和感無く融合させたとは良く云われる事だが、私は更にムード・ミュージックというのも加えたい。
音楽を語るとき「ムード・ミュージックっぽい」とか云われる時は、だいたい良くないという方向で語られる事が多いが、ここで私がいうサンタナとムード・ミュージックの関係については、悪いイメージは全くない。
サンタナの事は知らなくても「哀愁のヨーロッパ」を知っている人は多いと思うし、「君に捧げるサンバ」などもムード・ミュージック的な味わいといっても過言ではないと思う。
さらに「ブラック・マジック・ウーマン」はピーター・グリーン独特のドローンとしたやるせない重さの漂う曲だったが、それをサラッと誰にでも聞き易い曲に仕上げてしまったのはサスガで、そういったセンスが長きにわたって第一線で活躍できた要因だと思う。
さて、本作は1993年の南アメリカ・ツアーの模様を収録したもので、5月22日と23日のメキシコ・シティでの熱いステージを記録している。
一時の抹香臭い感じはなくて、初期のようなラテン・フレーバーたっぷりのそれらしい演奏が聞ける快作だ。
収録されている曲もファースト・アルバムからサード・アルバムまでの選曲が多いので、往年のサンタナが好きでその後のサンタナに物足りなさを感じていたファンには嬉しい内容だ。
1970年代初期に日本のビア・ガーデン・バンドの多くが取り上げていた「孤独のリズム」や「僕のリズムを聞いとくれ」が演奏されているのは嬉しくも懐かしい気分だ。
サンタナには過去いくつかのライブ盤があって、個人的にはキーボードのトム・コスタが在籍していた時代の「ムーン・フラワー」に収録されていたライブが好きだったのだが、本作で聞ける演奏はあの時代よりも更に熱く、昔のワイルドさを取り戻したかのようだ。
収録場所がメキシコ・シティという事もあり、会場を埋め尽くしたラテン系のノリの良い熱いムードが良い相乗効果を生んでいるように思える。
このバンドにはカルロスの実弟であるホルヘ・サンタナも参加していて、なかなか良い演奏を聞かせているが、音の太さや存在感といったものは圧倒的にカルロスの方が勝っており、やはりニイちゃんには適わないと見える。
まあ細かな事はさておき、この映像ソフトが多くのサンタナ・ファンに楽しんでもらえるものである事は確かだろうし、特に初期のサンタナが好きだという向きにはお気に入りの1枚に成り得るかもしれない。
この作品はCDでもリリースされているが、映像ソフト(このテキストはLD版を参考にしている)とは若干収録されている曲が違うので注意が必要だ。
LDは「LIVE IN MEXICO」とクレジットされているのに対し、CDでは「LIVE IN SOUTH AMERICA」となっており、こちらはこのツアー中の各地の演奏をピックアップして編集されたものであるようだ。
LDはもう入手が難しくなったが、幸いな事にDVDでリリースされている・・・・・のだが、残念な事にDVD化に伴う特典映像などは添付されていないようだ。