加瀬邦彦著
ビートルズのおかげです

ザ・ワイルド・ワンズ風雲録

著者:加瀬邦彦
株式会社竢o版社
2001年11月20日発行
定価:1400円(税別)

長年にわたってザ・ワイルド・ワンズのリード・ギタリストとして、リーダーとして、また沢田研二をはじめとして多くのシンガーに曲を提供したり、プロデューサーとしても活躍をした加瀬邦彦氏の伝記本が出た。
ブルージンズ在籍時代にビートルズの日本公演が見たくてバンドを辞めた話や、加瀬氏が当時の日本にはなかった新しいスタイルのポップ・バンドを目指してワイルド・ワンズを結成した話などとても面白く語られている。
他には当時人気絶頂だったタイガースの沢田研二との交友録や、ベンチャーズの話など氏の交友の広さを物語る話が多い。
ギターに興味を持つ私としては、何故加瀬氏が長きにわたってヤマハのブルージーン・モデルを使っているのかなどという素朴な疑問もやっと理解できたし、加瀬氏がブルージーンズ時代にフェンダー・ストラトを使っているレアな写真なども掲載されていて楽しいのだ。
私は今でもたまにワイルド・ワンズのステージを見る機会に恵まれるが、いつも感心するのは今もしっかりと現役であるという事だ。
「昔の名前」だけで今もステージに立っているGSのスター達が多い中で、ちゃんと練習を重ねた「お金を取れる」ステージを見せているワイルド・ワンズの秘密の一端が、この本を読んで理解できたような気がする。
この本は当時の状況を知る事が出来るという点や、加山雄三や沢田研二などとの交友の話も多いので特別ワイルド・ワンズのファンでなくても充分に楽しめる内容だ。
全体的には加瀬氏の人柄が感じられる文面に好感を得た。
因みに加瀬氏がオーナーである銀座のライフ・ハウス「ケネディハウス」でこの本を買うと、上に掲げたようなサイン入りで得した気分だ。