ジョン・レノン・ミュージアムへ行って来たよ・・・の巻


お盆の休みを利用して前から行きたいと思っていたジョン・レノン・ミュージアムへ行って来た。
実は私はこのミュージアムからけっこう近い所に住んでいるのですが、なかなか行く機会に恵まれず、お盆の長期休暇を利用してやっと行く事が出来たのです。
最初に断っておくと、私はそれほど熱心なビートルズ・マニアではありません。
でも、現役のビートルズを知っている世代ですから人並みプラス・アルファくらいにはビートルズが好きで、メディアでビートルズの話題が取り上げられたりするととても気になったりするし、この施設が出来た時にも早く行ってみたいと思ったものです。

 ジョン・レノン・ミュージアムは埼玉、東京、神奈川の3地域を縦断するJR路線、京浜東北線の与野と大宮の 間に新設された「さいたま新都心」駅からゆっくり歩いて10分位のところにあります。
1500円也のチケットを買って入り口まで行くと、係りのオネーサンに「10分ほど待って下さい」と言われて、まるでお預けを言い渡された犬のようにハアハア鼻息荒くして待ったのでした。
係りのオネーサンの「行って良し」の合図のもとに、最初の見学ゾーンである、小さなホールに入りました。
そこではジョンの生涯を短くまとめたビデオを見せられたのですが、これはファンならとっくに知っている内容ばかりで珍しくも何ともなく、さりとて眠るには短すぎ、真剣に見るにはつまらない内容でありました。
あれだったら最初からスムースに中に入場させて、展示を見学させてくれた方が良いのであります。
内部の展示は、ジョンの生涯を9つのゾーンに区切って、それぞれ少年期、ザ・ビートルズ、ジョンとヨーコの出会いなどジョンの活動の足跡を辿りながら分かり易く展示してあります。
ジョンの自筆の作詞原稿や衣装、(私が訪れた時は期間限定特別展示として、1966年の来日公演で初日のステージなどで着用したモスグリーンのジャケットが展示されていた)なども大変興味深いのですが、私としてはどうしてもギターが気になる。
結論から云うとこの施設には全部で8本ほどのギターが展示されておりまして、そのうち7本は本物でした。
唯一ジョンが初めて手にしたという「ギャロトーン・チャンピオン」だけが、実際にジョンが使った現物ではなくて、同型の代品が展示されていました。
でも、それはそれでこんなギターを使って音楽活動を始めたんだなという感動はあって、バンドを始めたスタート・ライン時に関しては我々が使った安物と大差ない楽器を使っていたんだと再確認出来た。その後の才能に天文学的な差が出たが・・・・・
ギターの展示で一番興味深いのは2本のリッケンバッカーとエピフォンのカジノだ。
ジョンが初めて手にしたというリッケンバッカー325モデルは当初ナチュラル仕上げで、後に黒に塗り替えられたりした後にまたナチュラルにリフィニッシュされたという。ビートルズ初期のレアな写真でジョンがこのギターを抱えているのを見る事が出来るが、そのギターが目の前にあるというのがスゴイ。そういえばこのリッケンは一時期盗難に遭ったとか、紛失したとか伝えられたけどちゃんとあったんですね。
もっとスゴイと思ったのがもう1本のリッケンバッカーだった。
おそらく多くのビートルズ・ファンにとって、ジョンといえば黒のリッケン、黒のリッケンといえばジョンという具合に、ジョンのトレード・マークといってもいいくらいのギターが黒のリッケンバッカー325だと思う。
このジョンの2本目のリッケンバッカーは1964年2月にリッケンバッカー社から贈呈された特別仕様だそうで、1965年のイギリス公演まで使われたとの事。
スゴイのはこのギターがジョンが前記のイギリス公演で使った時のまま保存されている事で、ギターのサイドに小さな紙に書かれた当日のセット・リストが貼られたままになっているのだ。その公演の後ギター・ケースにそのまま仕舞われてこのギターは主を失ってしまったワケで、このギターを眺めていると何となく感傷的な気分になってしまい、私はその場を立ち去り難く、何度も展示ケースの周りを回って子細を観察してしまった。今は音を出す事がないギターにこれほどの存在感を感じた事は未だかつて経験した事がなくて、戦慄さえ感じてしまったのであった。このギターだけでもまた見に行きたいと思っている。
もう1本、日本公演でも使われたエピフォンのカジノも展示されていた。
日本公演の時はサンバースト仕上げだったが、その後塗装をはがしてナチュラルにリフィニッシュされている。ジョージの発言によるとサンバーストの塗装をはがしてから「かなり音が良くなった」そうだが、それでこのギターは長く使われる事になったのだろうか。
前記のリッケンバッカーに次いで多くの人に印象が深いのはこのギターだろう。日本公演で使われたというのは前に述べたが、1969年1月にアップルビルの屋上で行われたセッションでもこのギターが使われている。
映像で何度となく見た、ゲット・バックのソロで使われたギターが自分の目の前にあるという事が俄には信じられない位だ。
この時の映像は比較的目にする機会も多いので、ジョンの使用ギターとしてはリッケン・バッカーに次いで印象深いギターになっていると思う。
前述のリッケンバッカーはちょっと汚れていた・・・・・というよりも実際に使用していたという実感に溢れたギターだったが、このエピフォン・カジノの保存状態は良いように見えた。。
ミュージアムのこのギターの解説には「ジョンの魂が乗り移ったギター」との説明書きがあり、前記のリッケンバッカー以降かなり長く使われた事からそういう形容がされるようになったのだろうが、私のように初期から全盛期頃までのビートルズが好きな者にとってはやはりリッケンバッカーがジョンのギターだという気がする。
その辺の思いというのは年令とか、その他それぞれの音楽体験などによって違うのだろうが、何れにしてもナマでジョンが使用していたギターが見られるというのは嬉しい事だ。
冷静になって良く考えてみれば、日本の、しかも私の住まいから近い旧大宮市に世界的ロック・スターと云って間違いがないジョン・レノンのミュージアムがあるというのが不思議な事ではある。
本来ならリバプールとかロンドンとかに在って然るべき施設だと思うが、ここは私の行動半径である近さにこういうものがある事を素直に喜びたい。
正直にいえば、この施設を見終わっての感想は「展示物が少ない」というのが率直な気持ちだが、ビートルズというグループとしてではなくて、ジョン一人のための施設である事を考えれば仕方がないのかもしれない。
でも本文の中でも述べたようにギター・ファンとしては、あのリッケン・バッカーだけでも再度見に行く価値はあると思った、というのも私の正直な気持ちだ。
そしてもうひとつ特筆すべきは入場者の年齢層の幅広さだ。
ざっと見回しただけでも20代位の人達から60代と思われる人達まで様々な年齢層の人達で賑わっていた。
これはビートルズという類い希な成功を収めたバンドの特異性を表していると思うし、昨年10月のオープン以来半年もしないうちに入場者数が10万人を突破したという事の確かな証でもあると思う。

左の写真は館内の売店で売られているミュージアムのプログラム。
館内の展示物がこの本に採録されており、ファンならずとも欲しくなる内容だ。
私にとってはジョンが使っていた各ギターが解説入りで大きな写真で掲載されているのが嬉しいことである。
この場で内部をお見せ出来ないのが残念ではあるが、取り敢えずミュージアムを訪れて 本物を見てほしい。
そしてギターを始めとして様々展示されているジョンの使用品を見て、ジョンの手垢を感じて欲しいと思う。
気のせいかジョンの所持品さえもオーラを放っているように感じられてしまい、家にかえってから早速ビートルズのCDを聞いた私なのです。
左記のプログラムが売られているショップはミュージアムを見学しなくても、買い物は可能。
プログラムは2000円で売られているが、たいした事ないビートルズ本が結構高い値段で売られている事を思えば格安だと思う。