RSUグループ・サウンズ・フェスティバル
ヴィレッジ・シンガーズ・ライブ
1978年5月10日・埼玉会館大ホール
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01 バラ色の雲 02 MC〜 03 虹の中のレモン 04 MC〜 05 スイート・キャロライン 06 MC〜 07 ビコーズ 08 MC〜 09 想い出のグリーン・グラス 10 MC〜(鳥塚繁樹登場) 11 好きだから 12 MC〜 13 亜麻色の髪の乙女 |
1978年5月10日 RSU グループ・サウンズ・フェスティバルから ライン録音 |
この音源はこのコーナーでも既に紹介済みのパープル・シャドウズと同じイベントのステージを収録したもので、1978年5月10日に埼玉県の埼玉会館大ホールで行われた「RSU
グループ・サウンズ・フェスティバル」での記録だ。
パープル・シャドウズ、ジャガーズ、ワイルド・ワンズなどが出演したこの日のコンサートでトリを務めたのがヴィレッジ・シンガーズであったのだ。
1978年という年は大方のGSが解散してからまだ10年も経っていないわけで、この日出演したグループはそれぞれに単発的に再結成して仕事をした事はあったかもしれないが、まとまってこのようなイベントに出演したのはこのコンサートが初めてだったのではないだろうか。
このコンサート開催の準備期間中の打ち明け話をしてしまえば、当初ヴィレッジ・シンガーズはこのイベントへの出演に消極的だった。
理由は各メンバーの多忙など様々な事があったと思うが、最大の理由は「今更商業ベースにのった演奏はしたくない」という事だったと思う。
しかしこのイベントを企画したRSUというというのは音楽好きが集まったアマチュアの団体で、営利を目的とした団体ではなかった。
そしてその事を理解して頂くためにワイルド・ワンズの植田氏に中に入って頂き、RSUの主宰者である松本氏が六本木・交差点近くにある某有名喫茶店でヴィレッジの小松氏と会ったのだ。
細かい説明は避けるが、その会談でRSUの主旨を小松氏に御理解頂いて出演を快諾されたというのがだいたいの経緯であった。
そんなわけで紆余曲折あった末に出演された時の演奏がこのテイクである。
私はヴィレッジの関係者ではないので詳しい事は良く分からないが、解散後10年弱の時を経て再結成されたこの日の演奏は貴重なのではないかと思うのだ。
テレビなどの特番で演奏したという事はあったのかもしれないが、おそらく当時の雰囲気を再現するようなカタチでの演奏というのはこの日以前にはなかったのではないかと推察される。
曲目リストを見て頂ければ分かると思うが、この日の演奏ではヒットしたオリジナル曲の他にカバー曲も何曲か演奏されており、限りなく現役時のステージに近い雰囲気を出していると思われる。
私自身は残念な事に当時の生のステージを見た事はないのだが、あの頃と大きく違うのはヴォーカルの清水道夫がギターを持っていない事だ。
そのせいかどうかよく分からないが、サウンドの面でも微妙に違う部分がある。
全盛時のように観客の熱狂した歓声がないせいなのかもしれないが、全体的に音が大人しい印象を受けるのだ。
そして大きな歓声に演奏が遮られていないから音が良く聞き取れ、ヴィレッジとはこういうバンドだったのかと改めて感心した次第だ。
あの時代私はヴィレッジも好きで結構良く聞いていたが、不覚にも小松氏のギターに注意を払った事はなかったように思う。
そういう意味でこのライブテープに残されたヴィレッジの演奏で小松氏のギターが聞けるという事実を喜ばしく思うのは私だけではないだろう。
GSのプレイヤーの人達は世代的にカントリー・ミュージックの洗礼を受けている人が多く、あのスパイダースの大野克夫氏が初期の頃にはキーボードではなく、カントリー・ミュージック専用楽器と断言しても良いペダル・スティール・ギターを弾いていた事を知っている人も多いだろう。
ヴィレッジの小松氏もカントリー・ミュージックが好きなようで、ここで聞けるプレイからストラトのナチュラル・トーンを活かしたカントリーのエッセンスが聞き取れる。
曲目は前述したようにあの頃のヒット曲を中心にジャズ喫茶でやっていたようなカバー曲も演奏している
それぞれの曲に関してはヴィレッジのファンには説明の必要もないと思うが、このテープで特に面白いのは曲間で聞けるMCだ。
当時の想い出話やエピソードはなかなか興味深いものがあり、演奏と共に今後に残したい貴重なあの時代の証言だといえる。
私はタイガースも好きなのだが、タイガースの全盛時代の楽曲の大半を世に送り出した橋本淳&すぎやまこういち路線に対して、よりポップでソフトな路線を狙ったと思われる橋本淳&筒美京平路線のさわやかな楽曲はヴィレッジに会っていると思うし、時代を経ても新鮮な感覚は失われない名曲が多い。