成毛滋&ジプシー・アイズ・ライブ




1.アイム・ソー・グラッド
2.政治家
3.スプーンフル


演奏曲目は上記の通りたった3曲であるが、ご存知の通り当時絶大な人気があったクリームのコピーであり、アドリブが長いので演奏時間はトータル約21分程である。
記憶が確かではないのだが、この演奏はこの頃人気があった文化放送のラジオ番組「こんばんは!落合恵子です」の枠内で放送されたという記憶があり、演奏直後に落合恵子が「スゴーイ!」と云いつつ登場してきたような気がする。
ここで聞ける演奏はアレンジなど一切施されていなくて、クリームのライブ・アルバムで聞けるのとほぼ同じスタイルで演奏されているのが嬉しい。
下手なアレンジがされていると、多くのケースで聞き苦しくなってしまうものだが、ここではノー・アレンジで演奏されているのでストレスを感じる事無く聞ける。
それにしてもここで聞ける演奏は熱い。
もちろんあれから30年もの歳月が経過して、ギタリストの技術も著しく向上した面があり、機材の進歩もあの頃とは比べものにならない。
しかし、ここで聞ける3曲が今聞いてもあまり遜色を感じないのはサスガであり、確かな技術に裏打ちされた演奏は時を隔てても風化しないのだ。
私はこれらの曲を演奏している成毛滋を東京・日比谷野音などで実際に見て大いに感動したものだが、その時の様子が思い出される。
強く印象に残っているのは成毛滋がギターを弾いている時の格好だ。
簡単に分かりやすく云ってしまうと、足踏みするような感じで弾いていて、それは言葉を代えれば「麦踏み」のスタイルのようでもあった。
話は変わるが、今は無き東京・有楽町の日劇で開催された「ロック・カーニバル」(正式名称は忘れた)というコンサートがあって、ジョン・メイオールの前座として、「ストロベリー・パス」という名で出演した時も凄かった。
タイコのつのだひろとの二人組という編成で、成毛滋はギブソンSGを抱えて左指だけでハンマリングやプリングだけでギターを弾きこなし、右手ではオルガンを弾き、足でオルガンのベース鍵盤を弾くという離れ業をやってみせたのだ。
そのトリッキーなプレイには大いに驚かされたが、最も印象に残ったのは成毛氏のギターの取り扱いだった。
ギターの使用パートを終わって、ギターをオルガンの上に置いたとき、(当たり前だが)とても大切なものを置くように、そっとギターを置いたのが妙に印象に残っている。
最近の同氏がどういう活動をしているのか詳しく知らないが、1999年の12月に東京・赤坂のエルカミーノで東京インストゥルメンタル・サークルの同窓会ライブがあって、その席で成毛氏はシャドウズの人気ナンバー「ニブラム」を一人で演奏して喝采を浴びたという。
知らない人の為に説明しておくと「ニブラム」という曲は、メロ・パートをギター2本でハモるカッコイイ曲で、私など凡人はあの曲をどうやって一人で演奏したのだろう思ってしまうが、それを簡単にこなしてしまうのがスゴイ。
実力者だけにもっとメジャーに活躍してもらいたい人だ。