Class Guitar
01 YellowBird
02 Malaguenas
03 Morenitado Brazil
04 Testament of Amelia
05 Acutely Cute
06 Little Music Box
07 El Humahuaqueno
08 Ave Maria
09 Scherzino Mexicano
10 Manha de Carnival
11 Cancion Triste
12 To Be In Love
13 I Feel Pretty

1967年リリースの、初めてガット・ギターを全面的に押し出した記念碑的な作品。
この作品以降ガット・ギター使用の頻度が高まり、これまでのゴリ押し的とも言えるテクニカルな方向から少しずつ転換していくようになる。

1967年にはベスト・アルバムを含めて4枚のアルバムを出しているが、この作品は3枚目に当たる。
個人的な感想を言うと、1965年から67年にかけてリリースされた作品は何枚かを除いて全般に低調を感じさせるが、この「Class Guitar」あたりから上向きになっていくのが分かる。

プロデューサーはチェットとボブ・ファーガソンの共同作業だ。
全面的にガット・ギター使用という事もあって、この作品に対するファンの好みは二分すると思われる。

これは私の想像に過ぎないが、1950年代初期からずっとグレッチを中心としたエレクトリック・ギターを使い続けていたチェットを好きになったファンは、この作品を初めて聞いた時に面食らったのではないだろうか。

この作品にはこれまでのチェットのプレイを象徴するようなギャロッピング奏法もないし、トリッキーなプレイもほとんど聞かれない。
ギター・ファンを惹き付けるような要素が少ないと言えるが、その分音楽的には充実した作品になったように思う。

収録されている曲は上記に掲げた通りだが、いわゆるクラシック・ギタリストの作品のような選曲ではないのがチェットらしいところで、このアルバム全体を通して聞いた時の印象はチェットのクラシック・アルバムといえるものになっているのが面白い。

ちょっと言葉が悪くなってしまうが、これまでのチェットはギターを“弾きっぱなし”にしてきた感がある。
それは優れた才能を持った人が陥りやすいアナではあるが、そういう部分は多くのファンにとって魅力的に感じる両刃の剣といったところでもある。

そういうチェットの過去を考慮に入れると、この作品で聞ける音はやや地味ではあるが充分に練られた感じもするのだ。

収録されてる曲に付いては何曲かが他のアルバムにエレキ・バージョンで収録済みなので改めて聞き比べるのも面白い。

因みに「Yellow Bird」は“カリビアン・ギター”に、「Malaguennas」は“フィンガー・スタイル・ギター”に収録されている。

特に「Malaguennas」はここで聞く事ができるガット・ギター・テイクの方が私は好きだ。どちらの出来が優れているかという問題ではなく、この曲にはガットの方が似合うというだけの事だ。ただ両テイク共に演奏時間は約2分40秒前後で、ほぼ同じなのが面白い。

また5曲目のチェット作、「Acutely Cute」がカッコイイ出来でシビレル。

12、「To Be In Love」はチェットとジェリー・リードの共作だ。

尚、この作品の後チェットは傑作アルバム「CHET」を産み出し、翌年の「Solo Flight」へと続いていく。