クリスマス・アルバム・セレクション〜3

Carnie & Wendy Wilson/Hey Santa
カーニー&ウェンディ・ウィルソンは、あのビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの愛娘が組んだユニットで、このクリスマスアルバムは1993年にリリースされている。
このアルバムのトップに収められている「ヘイ・サンタ」は私の大のお気に入りクリスマス・ソングで、メロディはもとよりアレンジやコーラスがポップスの王道といえる演奏で、私にとってはクリスマスソングという季節的なものではなく、通年聞いているお気に入りポップソングなのだ。
私にとっては10年に一度巡り会えるかどうかという位の“好み”で、トラディショナルではない近代?クリスマスソングの中でベストワンの出来である。
アッ、言い忘れたけどもちろん他の曲も良いですよ。
The Beach Boys/Christmas Album
ビーチボーイズっていうとどうしても夏のイメージが強いが、これは彼らのデビュー2年後の1964年10月リリースのアルバム。
私が所有しているのはCDなのでボーナス・トラックが5曲追加されて全17曲の収録数だ。
これは私の先入観だと思うけどビーチボーイズがいくらクリスマス・ソングを歌っても、私の空想力では雪景色は見えてこない。
彼らからイメージされるのはどうしても夏のイメージで、しかもそのイメージには海が付きまとう。
従ってクリスマスというイメージを持って聞くと私的には今ひとつピンと来ないのだが、だからといって作品の品質が悪いという意味ではない。結局は好みの問題か?
Linda Ronstadt/A Merry Little Christmas
2000年発表の作品。
最近のリンダからは昔のようなハツラツ・リンダの姿は見えなくなってしまい、大人しい印象の作品が多いが、このアルバムもそんな“静かリンダ”の延長線上にある作品だ。
しっとりと歌い上げる曲が多いので、私としてはピーター・アッシャーがプロデュースをしていた頃のようなポップな感じが欲しいけど、それは無い物ねだりというものか?
しかし何にしてもリンダがこうして一線で活動してくれるのは嬉しいことで、今後のリンダにやはり期待してしまうのだ。
Boyz UMen/Christmas Interpretations
ボーイズ・U・メンが1993年に放った異色のクリスマス・アルバム。
何が異色かっていうとオープニングとエンディングに「サイレント・ナイト」がオマケのような形で歌われている意外はすべてオリジナル作品なのだ。
通常クリスマス・アルバムっていうのは多くの人の耳に馴染んだ曲、例えば「ジングル・ベル」とか「ホワイト・クリスマス」などの定番曲を収録するものだけど、この作品はそのセオリーを一切無視した独自の作品だ。従ってクリスマス・ムード満点というワケには行かないけれど、彼らの歌唱力がその欠点?を補ってお釣りがくる良好盤だ。

Jackson 5/The Christmas Collection
1970年にリリースされたジャクソンズの作品を2003年に再発した作品がこれ。
全体的にまだ子供声の印象が強く残ってそれ故の音楽的拙さも見えるけど、それがまた魅力になっているんだと思う。1970年といえば兄弟で一番若年のマイケルはまだ12才という若さ・・・というよりも子供だ。そのマイケルの伸びやかな子供声がこの作品の一番の魅力だろう。
特に(何故か)なかなか入手が出来ずに涙を飲んだ人も多かった「ママがサンタにキスをした」は、クリスマス・シーズンになると当時のFENラジオでよく流れていた曲で、一度聞いて私は気に入ってしまった。
Elvis Sings The Wonderful World of Christmas
1971年録音の作品。このアルバムを録音した時のエルヴィスは36才という年齢で、シンガーとしては脂が乗り切った絶頂期と云えるのかもしれない。この前年の1970年にはラスベガスで行われたショーを記録した「エルヴィス・オン・ステージ」なども製作されていたワケで、個人的にはエルヴィスのキャリアの中で最も好きだった時代だ。
このアルバムのエルヴィスは華やいだクリスマスのイメージというよりも、どちらかと云うと「ゴールデンヒム」などに似たシットリした感じがあってとても良い。ジェームス・バートンのギターがフューチャーされて最後はブルースで終わる「ウィンター・ワンダーランド」など思わずニヤリとさせられるようなアレンジもあって、シットリした中に楽しさも散りばめられている。好きなアルバムだ。
Christmas with Frank and Bing
都内のCDショップで何と500円で売られてたものだけど、これは買い得だった。
これは1999年にイギリスから出されたコンピレーション・アルバムでビング・クロスビーとフランク・シナトラの歌が計20曲収録されている。
今回紹介した7枚のクリスマス・アルバムの中では最もオーソドックスなスタイルで作られたアルバムで何も新しさは無いけれど、こういうのが一番安心して聞いていられる。
ビングがアンドリュース・シスターズと共演した「Here Comes Santa Claus」などとても楽しい出来だし、個人的な好みとしてはやはりシナトラの歌唱が圧倒的に良いと思う。
聞き易いクリスマス・アルバムとしてオススメ。