クリスマス・アルバム選集

わざわざ私が語るまでもない事だが、クリスマス・アルバムにもピンからキリまである。しかし、私が好きなのはあくまでもオーソドックスなもので、たとえば「カントリー・クリスマス」とか「R&Bクリスマス」とか特定のジャンルだけのクリスマス・ソング集というのはあまり好きではなく、従って本サイトで紹介しなければいけないようなギタリスト主体のクリスマス・アルバムはあまり持っていない。
その部分についてはお許し願うとして、私が気に入っているアルバムの一部を紹介します。

1966年発売のBooker T&The MG's のアルバム。オーソドックスなクリスマス・アルバムが好きな私としては、本アルバムで聞ける音は今ひとつという気がしているが、7曲目に入っている「Merry Christmas Baby」は良い。といってもこの演奏は完全にブルースで、クリスマス曲としての華やいだイメージはまったくない。
スティーブ・クロッパーのテレキャスターが良い音で、かなり怪しげなブルースを展開している。
でもクロッパーのブルース、私は好きなんです。
1970年発表のボストン・ポップスのアルバム。実は私はボストン・ポップスが大好きでかなりのCDやレコードを所持している。しかし、誤解を恐れずに言うなら何と言ってもコンダクターはアーサー・フィドラーでなくてはいけないのだ。ジョン・ウィリアムスだって決して悪いというつもりはないが、音楽的に楽しいのはアーサー・フィドラーのものだろう。このアルバムの中では有名なクリスマス曲をメドレーにしたものが楽しくて、そのアレンジをルロイ・アンダーソンがやっているのだ。あまり馴染みのない名前かもしれないが、今これを読んでくれているほとんどの人がアンダーソン作品を聞いた事がある筈だ。
1994年発表のジュディ・コリンズの傑作クリスマス・アルバム。
とにかく全編に溢れる清涼な歌声が美しい。私のような邪心に満ちた人間もこれを聞けば今までの人生を大いに反省し、すぐに再起を誓うという事になる・・・・・?
このアルバムの最後に収録されている「アメイジング・グレイス」が特に良い。
ほとんどアカペラで歌われるこの歌はジュディの歌声はもちろんの事、バックに流れるコーラスの響きが実に良い。最近日本で人気のゴスペルはシンガーの歌唱力もさることながら、バックのコーラスの出来が悪くてどうにも聞きづらい。
これはクリスマス・アルバムというワケではないのだが、何故かクリスマス曲が多く収録されている上にビング・クロスビーもアンドリュース・シスターズも私のお気に入りなので紹介してしまう。
このCDはビングとアンドリュース・シスターズが一緒に録音した多くのテイクを残らず収録したというコンプリート・コンピレーション盤で、1996年に2枚組セットとして発売されている。1930年代後半から1950年代までの録音が中心だが、驚くのはオーストラリアでリリースされた海賊盤の音源までもが収録されている事。
ビング・クロスビーといえば誰もが「ホワイト・クリスマス」を連想すると思うが、残念ながらこのアルバムには収録されていない。
1978年発表の彼らの通算9枚目のアルバム。
個人的好みかもしれないが、「クリスマス・アルバムはやっぱりこうでなくちゃ」という感じの定番的なアレンジやストリングスの響きが心地良い。
それにやはりカレンの圧倒的巧さのヴォーカルはいつ聞いても気持ちよく、安心して聞いていられる。
カーペンターズにはもう1枚のクリスマス・アルバム「オールド・ファッションド・クリスマス」があり、収録曲がダブっているので購入の際には注意を必要とする。
1965年発表のベンチャーズ会心のアルバム。
他のクリスマス・アルバムと決定的に違うのはその傑出したアレンジだろう。ビートルズの「アイ・フィール・ファイン」のイントロを流用した「赤鼻のトナカイ」や、その時代に人気があったロックン・ロール・ナンバーの印象的なイントロを使った曲など、アイデアとセンスが光る。ここに収録されている「そり滑り」がボストン・ポップスの所で紹介したルロイ・アンダーソンの作品だ。
ベンチャーズ・ファンにはあまり人気がない「カントリー・クラシックス」同様、特定の音楽に的を絞ったコンセプト・アルバムの中では群を抜いて出来が良いのがこのアルバムだと思う。
チェット・アトキンスが1961年に発表したアルバムで、ここに掲載したジャケット写真は1997年にCDでリイシューされた時のもの。ファンならとっくに周知の事だが、チェットは1983年にも「イースト・テネシー・クリスマス」というアルバムを発表しており、本作とダブる曲がある。個人的な好みでいえば本作があれば「イースト〜」は持っていなくてもいいかな?・・・というところだ。
しかし、どういうわけかこの作品が売られているのをあまり見かけないのは何故だろう。
季節柄今だったら店頭に置いてあるのだろうか。
これもクリスマス・アルバムというわけではないし、CDでもないのだ。
これは1998年12月15日、東京・芝メルパルクホールで行われた寺内タケシとのジョイント・コンサートのうち、三根信宏率いるシャープ・ファイブのステージのみを収録したビデオだ。コンサートが行われたのが12月という事もあって1曲だけクリスマス・ソングをやっているので、三根さん大好きな私としては強引にここで紹介してしまおうという魂胆。
でもここで詳しく述べるのは止めておこう。いずれ別のコーナーで改めて紹介する事にして、一言だけ「このビデオいいですよ!」
正直に言うとこれをここで紹介していいものかどうか迷ったのだが、事のついでに紹介してしまう。
このCDはその辺のCDショップで売られているようなものではなくて、北海道・小樽のオルゴール堂で売っている、オルゴールによるクリスマス・ソング集。
クリスマス曲の雰囲気からいって、こういうこぢんまりとしたオルゴールによる演奏というのも捨て難い魅力があり、下手な歌手のものよりもずっといい。最近はちょっとした所に買い物に行くと、こういうオルゴール演奏によるクリスマス・ソングがあちらこちらで聞けるようになった。私は北海道が好きなせいか、オルゴールの音とハーブの香りがペアで印象に刷り込まれていて、こういうのを聞くと何となくハーブの香りがするような錯覚に陥る。